献花とは

「ご参列の方」

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献花とは
供花との違いや葬儀でのマナー、注意点について解説します

献花とは献花台に手向ける別れの花です。近頃では無宗教の葬儀やお別れの会、自由葬でも、積極的に献花が行われています。献花によく使われる花はカーネーションや百合で、喪主や主催者が用意するものです。ここでは、献花について解説します。

1. 献花とは

献花とは、故人にお別れを告げるために捧げる花のこと、もしくはその行為を指します。
献花台が設けられた場所で人々が花に想いを込め手向ける姿は、葬儀だけでなく事故や事件の現場でも見られます。海外の葬儀では埋葬時に花を捧げますが、日本で行われる葬儀の献花は葬儀や告別式のなかに組み込まれています。 玉串奉奠 たまぐしほうてん や焼香に似ていますが、無宗教の葬儀やお別れの会で行われる献花には、もともと厳密な作法はありません。そのためキリスト教式葬儀の作法で行われる場合がほとんどです。

供花との違い

供花(きょうか・くげ)は故人に供える花のことで、通夜や葬儀の会場、後飾りの祭壇に飾る盛花です。献花は献花台に一輪の花を捧げたり花束を供えたりしますが、供花の場合は盛花といい、籠や花台にアレンジします。1基(片側)、2基(1対)で用意するケースが多いようです。宗教や宗派に関係なく、故人に供える花として主に故人の近親者から送られます。通夜や葬儀の会場に飾られるため、訃報を聞いてからすぐに手配します。菊、小菊、ラン、百合といった白色の花を中心に、トルコ桔梗、カーネーションなどを指し色に使うアレンジが一般的です。なお、キリスト教の葬儀で菊は使われません。

枕花との違い

枕花は亡くなってすぐに自宅に届けられ故人の枕元に供える盛花です。ご遺体とともに自宅から安置所、葬儀場へと移動するので小ぶりな仕立てが重宝されます。最近は、病院で亡くなられたあと遺体安置所へ移されることも多くなったため、届け先が自宅でないケースも増えました。供花と使われる花や性質が似ていますが、届ける場所やタイミング、お供えする意味あいが異なります。

別れ花との違い

別れ花とは、告別式でご遺族やご親族が一輪ずつご遺体の顔周りを飾るように添えていく儀式または花自体を指します。供花の花を用いるのが一般的ですが、故人が好んだ花を別に用意する演出もあります。別れ花は出棺の直前に行われ、直後に柩の蓋を閉めるため故人と最期の対面となる大切な儀式です。別れ花とともに、故人の愛用の品やご遺族からの手紙などを添えることもあります。一輪ずつ故人に捧げる点は献花に似ていますが、柩に納める点で使い方が異なります。

2. 献花のささげ方とマナー

献花は主にキリスト教式の葬儀や無宗教式の告別式、お別れの会などで行われます。祭壇の前に用意された献花台に花を捧げるのですが、そのときある程度決められた流れや作法があります。会葬者の前で一人ずつ行いますので、前の人のやり方を真似るのも一つの方法ですが、比較的簡単な流れですので覚えておくとよいでしょう。

献花の流れ

葬儀の流れにより、1と2が前後する場合もあります。

献花の流れ
  1. 花を受け取る(右手に花が来るように両手で受け取ります)
  2. ご遺族に一礼する
  3. 祭壇まで進む
  4. 花を時計回りに花が手前(茎が祭壇側)に来るよう回す
  5. 花を献花台に捧げます(置く)
  6. 黙とうするか、深く一礼します
  7. 神父・牧師に一礼する
  8. ご遺族に一礼し、席に戻る

献花が行われるのはいつ?

キリスト教式葬儀のうち、カトリックの献花は、告別式の後半で弔事や弔電の奉読を終えてから行います。プロテスタントでは、告別式のなかでも告別の祈りのあとに喪主が挨拶をし、献花が行われます。無宗教の葬儀やお別れの会などは、葬儀の流れが自由であるためいつ献花を捧げるかは葬儀ごとに異なりますので式次第で確かめておきましょう。

3. 献花に使われる花の種類

仏式葬儀の別れ花では、一般的に供花の花を利用しますが、献花に使われる花はほかの花を流用せず個別に用意します。教会や葬儀社で準備するときに、故人の好んだ花や故人へのメッセージとして花言葉で選ぶのもよいでしょう。その際は、献花にふさわしい花、使われない花の種類を心得ておくと役立ちます。

キリスト教の葬儀でよく使われる花の種類

献花に使われる花の種類に決まりはありませんが、生花に限られます。キリスト教式葬儀の献花にはカーネーションがよく使われます。とくに白いカーネーションには、キリストが 磔刑 たっけい に処されたとき、母マリアの涙から純白のカーネーションが生まれたというエピソードがあります。花言葉は「純潔」「尊敬」「偲ぶ」「あなたへの愛は生きている」などです。カーネーションが好まれるもう一つの理由は、水揚げがよくしおれにくい点にあります。少人数の葬儀では、大振りの花の百合も使われます。百合は、純潔のシンボルのマドンナリリーやソロモンの雅歌の野の百合としてキリスト教と深いかかわりがあります。花言葉は、「純潔」「無垢」「威厳」などです。

お別れの会でよく使われる花の種類

お別れの会や自由葬では、カーネーションや百合はもちろんのこと白い菊も好んで使われます。菊の原産地は中国で、日本には平安時代に伝わりました。日本人にとってなじみの深い花であることや、皇室のシンボルが菊であること、単に花もちがよいことなど菊が葬儀などで使われる理由は所説あります。お別れの会は、自由な風潮で行われることも多く、故人の好んだ花が献花に使われることも少なくありません。また、花の色も白に限らず故人の好みによることもあります。

献花において避けるべき花はある?

バラなどトゲのある花は避けたほうがよいでしょう。バラはご遺族の強い意向で献花に使われることがごく稀にあります。しかし、トゲの処理がきちんとされない場合、参列者にケガを追わせかねませんのでおすすめしません。なお、自宅用の供花は特殊な加工を施し長持ちする「プリザーブドフラワー」が使われるケースが増えています。しかし、葬儀で使われる花は生花が基本であり、使いまわされるような造花やそれに準じる花はふさわしくありません。

4.献花の注意点

献花は、葬儀以外の場所でも式典や事故の現場などで行われるケースもあります。日本ではあまりなじみのない儀式ですので、注意点をいくつか紹介します。

キリスト教の葬儀では、献花の花は参列者が用意しない

献花は葬儀や儀式の主催者が用意するもので、教会や葬儀社が準備するのが一般的です。キリスト教式の葬儀であることを伝えれば、葬儀社で用意してくれます。献花はオプションでつけるケースがほとんどで、1本あたりの価格で必要な本数を依頼します。そのため参列者や会葬者は持参しません。

交通事故などの事故現場に献花するとき

悲惨な事故の現場では、献花台を設けることがあります。この献花台の多くは、事故現場近くの近隣住民やご遺族に近しいひとたち、または自治体が主体となって設営します。この場合の花はやはり葬儀などの儀式と同じような花が使われます。おおむね一ヶ月ほどは献花や供え物などを受付し、片付けはボランティアの方々や、近隣住民の皆さんによって行われているようです。献花台は思いのほか管理に手がかかるため、あまりにもたくさんの花が捧げられている場合は、献花を遠慮するのもマナーの一つといえるでしょう。なお、献花の作法で行う必要はありません。

献花は、神式の葬儀で行われる玉串奉奠とは異なる

神式の葬儀では、「 玉串奉奠 たまぐしほうてん 」という儀式を行います。玉串奉奠とは、 さかき の枝に 紙垂 しで を麻ひもで束ねたものを祭壇に捧げる儀式のことです。しぐさは献花によく似ていますが、意味合いがまったく異なるので注意しましょう。玉串には米、酒、塩、水など神前に供えるものと同じ意味を持っています。献花が故人に捧げるものであるのに対し、玉串は神に捧げるものです。

5. 葬儀で行われる献花はこれから増える

ここでは、献花と供花などの違いや献花を行う際の流れ、使われる花などについて解説しました。日本で行われる献花の作法は、海外の葬儀では見られず日本独特のもので、神道の玉串奉奠が元となっていると考えられています。近頃の葬儀事情では、無宗教葬やお別れの会といった自由な形の葬儀が見られるようになり献花が行われる機会も増えつつあります。これをきっかけとして献花のマナーを身につけ、どのような葬儀でも対応できるよう準備しておきましょう。

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