【お通夜のマナー】お通夜の服装について。平服で参列する場合についても解説

「葬儀・葬式のマナー・基礎知識」

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通夜参列時の服装
男女別、季節別に解説します

突然の訃報を受け、通夜へ参列することになったものの、服装に迷う方も多いのではないでしょうか。哀悼の意を表すためにも礼節を守り、故人との時間を大切に過ごせるようにしましょう。このページでは通夜に参列する際の服装のマナーについて、詳しくご紹介します。

1. 通夜と葬儀・告別式で服装は変わる?

近年では、通夜と葬儀・告別式では服装を変えず、どちらも喪服を着用するのが一般的になってきました。その理由として、通夜が哀悼の場としての大きな役割を担うようになってきたことが挙げられます。

葬儀・告別式は日中に執り行われることが多く、忙しくて参列が難しい方が多く、一方で通夜は夕方以降に行われるため、出席しやすく多くの方が参列します。
場合によっては葬儀・告別式よりも多くの方が参列することも少なくありません。

こうした背景から、通夜でも葬儀と同じように、喪服を着用することが一般的になってきました。

通夜に限り平服での参列も可能といわれていますが、喪服を用意できるのであれば、喪服を着用しましょう。

仮通夜の場合の服装

仮通夜は、一般的には亡くなった当日に遺族・親族のみで執り行います。そのため、本通夜より服装やマナーに強い決まり事はなく、落ち着いた色合いで地味な服装であれば、基本的には平服で問題ありません。

仮通夜の席で喪服を着用すると、「不幸があると予想して準備をしていた」と捉えられ失礼にあたる場合があります。

遺族・親族への配慮として殺生を連想させる革製品(クロコなど)や毛皮、デニムなどカジュアルすぎるもの、柄の大きなもの、肌の露出が多いもの、光沢のあるアクセサリーなどもなどは避けたほうが良いでしょう。

2. 【男性・女性・子供】それぞれの通夜の服装

男性の通夜での服装

通夜へは、ブラックスーツやブラックフォーマルといった、略礼服での参列が主流です。 靴などの普段使っているアイテムが場にふさわしいものであれば、そのまま使っても良いでしょう。

喪服

黒無地で光沢素材ではない略礼服を着用します。
ジャケットは、シングル、ダブルのどちらでも構いませんが、パンツの裾はシングルのものを選びます。

ワイシャツ

白無地でレギュラーカラーのものを着用します。
色柄物や、ボタンダウンのシャツはカジュアルな印象になるため避けましょう。

ネクタイ

黒無地で光沢素材でないものを着用します。
ネクタイを結ぶ際は、ディンプル(くぼみ)を作らないよう気をつけましょう。

ベルト

黒無地でシンプルなデザインのものを着用します。
バックルが大きく目立つものや、蛇革やクロコなどの素材・デザインは避けましょう。

靴下

黒無地のものを着用します。
色柄物や、白い靴下は避けましょう。

黒の革靴を選びましょう。
ここでも蛇革やクロコなどの素材はもちろん、エナメルやスエードの素材も避けます。
なるべく金具のないシンプルなものが好ましいでしょう。

女性の通夜での服装

女性も、通夜へはブラックスーツ、ブラックフォーマルといった略礼服で参列することが主流です。
女性の場合、華美なメイクやネイルなどにも注意が必要です。

喪服

黒無地で光沢素材ではない略礼服を着用します。
ワンピース、アンサンブル、パンツスタイルが一般的です。
スーツの場合、ジャケットのインナーは黒無地のブラウスなどを選びます。
トップスの袖丈は長袖から五分袖、スカート丈は膝下からふくらはぎ丈のものが良いでしょう。

ストッキング

黒の薄手のストッキング(30デニール以下)を着用します。
網タイツや色柄物、厚手のもの、肌色のストッキングは避けましょう。

バッグ

黒無地で光沢素材ではない布製のハンドバッグを選びます。
布製のものが無ければ、光沢のない合皮のバッグでも良いでしょう。
いずれも飾りのないシンプルなものが好ましく、数珠や袱紗(ふくさ)が入る大きさのものを選びます。
荷物が多くなる場合は、黒のサブバッグを持ちましょう。

化粧

化粧は、「片化粧」の作法を意識します。
「片化粧」とはいわゆる「薄化粧」ですが、一般的な薄化粧とは異なり基本的に口紅は塗らないのが原則です。唇の色によっては顔の血色が悪く見えてしまうため、ベージュなど落ち着きのある肌馴染みの良い色の口紅で自然な仕上がりにしても良いでしょう。

ベースメイクは薄めで、チークもできれば使わない方が良いでしょう。
全体的に、ツヤやラメ、グロス、パール感や色味を抑えます。
薄い化粧が良いとはいえ、ノーメイクで参列することはマナー違反になるため避けましょう。

パンプス

黒無地でツヤや装飾の無いシンプルなパンプスを選びます。
ヒールは細すぎないもので、高さは3~5cmが適切です。
ヒールの細いものや高いもの、エナメル素材のもの、素足の見えるミュールやサンダルは避けましょう。

手袋

手袋は基本的には着用しなくても構いませんが、すぐには落とせないネイルをしている方や、より露出を控えたいときには有効です。
その際には、黒無地で厚手すぎない、シンプルな手袋を着用します。
ただし、ご焼香の際には手袋は外しましょう。

子どもの通夜での服装

子どもが通夜に参列する際は、年齢でも装いが変わってきます。
現在通っている学校指定の制服がある場合は、基本的に制服を礼装として着用します。
学校によっては、明るい色の制服や、チェックなどの柄がある場合もありますが、学生服は正装とされているため問題はありません。

ワイシャツを出さない、スカート丈は短くしない、など、着こなしは通夜の場であることを踏まえたものにしましょう。
制服が無い場合、男の子は黒・紺・グレーなどのブレザーとパンツ。
女の子は黒・紺・グレーのブレザーとスカート、またはワンピースを着用します。

子どもがまだ小さい場合

保育所や幼稚園などの指定の制服がある場合は、中高生と同じように礼服として着用できます。
制服が無い場合や、子どもがまだ小さい場合は、落ち着いた色味やデザインの服を選びます。
襟のある白いシャツや、黒い長ズボン、スカート、ワンピースなどが一般的です。
また、赤ちゃんの場合、特別な服を用意する必要はありませんが、赤色や濃いピンク色などはなるべく避けましょう。

3. 季節別に見る服装の違いや注意点

季節ごとに服装が変わり、注意する点も変わってきます。特にご質問の多い夏と冬の服装についてご説明いたします。

夏の注意点

夏に通夜に参列する際、注意すべき点は、上着の有無と肌の露出です。
通夜の場においては、基本的に上着は着用したまま参列します。
近年は、ほとんどの通夜が屋内の会場で執り行われており、冷房が効いていて上着がないと冷えてしまうことも考えられます。
マナーに限らず冷房対策としても上着は必要だと思った方がよいでしょう。

一方、通夜が屋外で執り行われる場合、上着の脱衣を促すアナウンスをされることもあるようです。

その際は無理をせず、上着を脱いでも構いません。
しかし、薄すぎる生地や、女性の場合ノースリーブを避けるなど、肌の露出が多くならないよう気をつけましょう。

冬の注意点

冬に通夜に参列する際、注意すべき点は、コートなどの防寒具です。
冬に執り行われる通夜にコートを着用していくこと自体は問題ありません。
ただし、ビジネスマナーと同じく、コートは会場の入口前で脱ぐようにしましょう。
コートは黒無地で装飾がなく、光沢素材でないものを選びます。
動物の殺生を連想させる革製品(クロコなど)や毛皮を使ったもの、ダウンジャケットは避けましょう。
女性の場合、寒い冬場でも厚みのあるタイツを着用することはカジュアルな印象となるため、マナーとしては望ましくありません。
肌色のストッキングの上に黒色のストッキングを重ねて履くなどの防寒対策が効果的です。
男女ともに、冷えが気になる場合はカイロを用意しておくのも良いでしょう。

4. 喪服がなくてお通夜に平服で参列する場合

喪服がない場合は、通夜に限り、黒、紺、グレーなどの落ち着いた色味のスーツであれば、そのまま参列しても差し支えないとされています。
しかし、スーツはストライプやチェックなどの柄やコントラストが強いものは避けましょう。

男性で喪服がない場合

ワイシャツやネクタイも、なるべく喪服の場合と同じように、白いワイシャツを着用し、黒いネクタイと靴下を着用することが一般的です。

女性で喪服がない場合

スーツで代用するならば、インナーのブラウスなどは黒無地のものを選びます。
男女ともに、ベルトや靴、バッグなどの小物は、革製品(クロコなど)や毛皮などの素材は避けましょう。

急きょ通夜に駆けつける場合

また、突然の訃報を受けて、事前の準備ができないまま、仕事先から急遽駆けつける場合もあるでしょう。

黒いネクタイやストッキングはコンビニエンスストアなどで購入することも可能です。
なるべく、すぐに用意できるものだけでも着替えるほうが適切です。
男女ともに、光沢のある装飾品や、革素材のアイテムを着用している場合は忘れずに外しましょう。

5. 通夜の服装を整え、故人と向き合う時間を大切に

このページでは、通夜における服装のマナーについてご紹介してきました。
通夜の服装については「基本的には略礼服である喪服を着用する」「黒無地で、光沢のない素材が好ましい」「殺生を連想させる動物の革や毛皮などの素材を避ける」という点を確認しておきましょう。

男女、年齢問わず、最低限押さえておきたいマナーは共通しています。通夜は、亡くなった故人へ感謝とお別れの思いを伝える大切な場です。一番大切なことは、故人、遺族への哀悼の思いではありますが、それを表現するための服装でありマナーなのです。

突然の訃報で、服装に迷ったり後悔したりしないためにも、事前にしっかり準備しておくとより安心です。マナーを守り、お別れの場にふさわしい装いを心がけましょう。