精進落し

葬儀の流れ「喪主・ご遺族の方」

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精進落しとは?
挨拶やマナー、料理を選ぶ際の注意点を紹介

精進落しは宗教者や参列者をねぎらう大切な儀礼の一つです。このページでは精進落しがどのような意味を持つものなのか、同時に必要な準備や、挨拶、お出しする料理などもお伝えしていきます。

1. 「精進落し」とは

精進落しとは、一般的に初七日法要のあとに料理を振る舞い、宗教者や参列者をもてなすことを言います。古くは、49日目の忌明けまで魚や肉などの生臭物を絶ち、精進料理を食べていた遺族が、通常の食事を食し日常生活に戻ることを言いました。

しかし近年では、初七日法要のあとに昔ながらの精進料理ではなく、魚や肉の入った会席料理(精進落し料理)を振る舞います。そして宗教者や参列者、世話役など、葬儀でお世話になった方々をもてなす意味合いがあります。

「精進落し」の本来の意味

元々は肉や魚などを食べずにいた中陰の期間(精進の期間)を終えて、日常生活に戻る時の食事を指す言葉でした。これが転じて、忌明け法要後の日常に戻るタイミングの食事の席、つまり「お斎(とき)」の席も「精進落し」と呼ぶようになったのです。死穢(しえ)を祓い清めることを目的としており、本来は忌明けに行われていました。

「精進落し」と同じ意味の名称

「精進落し」は、「精進上げ」「忌中祓い」「精進落ち」「お斎(とき)」「直来(なおらい)」「仕上げ」など地方によって多種多様な名称があります。

精進落しと通夜振る舞いの違い

概要
精進落し 初七日法要の後あるいは火葬後に参列者へお礼として料理を振る舞う。呼ぶ人数が決まっているため、懐石料理のように一人ずつ食べられる食事を出すのが一般的。
通夜振る舞い お通夜の後に参列者へ料理を振る舞う。弔問客の数が予測しにくいため、軽食やオードブルなど大勢に対応できる食事を出すのが一般的。

葬儀の会食と言えば、お通夜のあとに行う「通夜振る舞い」もあります。どちらも参列者をもてなす会食ですが、大きな違いは、精進落しのほうがゆっくり落ち着いて会食するところでしょう。通夜振る舞いでは、オードブルなど取り分けやすい大皿で提供されることが一般的です。

2. 精進落しの準備について

  1. STEP

    いつ行うのかを決定

    精進落しの参列者の中には、遠方から葬儀に駆けつけてくれた人もいます。予定が合わずに呼べない、ということがないように、いつ行うかをまず決めましょう。一般的には、初七日法要の後に参列者に料理を振る舞うことを指します。そのため、葬儀当日の最後に振るまうのが一般的ですが、葬儀・火葬が終わった後、後日初七日法要を行う場合は、参列者の都合を考えて、日程を決めるとよいでしょう。

  2. STEP

    場所を決定

    精進落しには故人を偲び、葬儀を手伝ってくれた人を労う意味があります。日付が決まったら、行う場所を決めましょう。一般的には、仕出しを取って自宅や斎場で行ったり、料亭を予約したりします。葬儀場と火葬場が同じ敷地にあり、火葬中に精進落しを行う場合は、葬儀場(待合室)を会場とする場合が多いです。

  3. STEP

    出席者の確認

    一般的には親族のみですが、特に親しかった人をお呼びする場合もあります。火葬場まで同行してくれた人や手伝ってくれた人だけを招待し小さな規模で行うケースもあれば、できるだけ多くの方を招待するケースもあります。
    出席者数は精進落しで用意する食事に影響しますので事前に確認しておきましょう。
    あらかじめ人数がわかる場合はお弁当や懐石料理、わからない場合は大皿料理などで対応します。

  4. STEP

    料理を考える

    現代の精進落しでは、鯛など慶事を連想させる食材は避けることもあります。幅広い年代の方が出席するため、なるべく旬の食材や煮物など、幅広い世代に好まれる食事内容にするとよいでしょう。また、葬儀会館や料亭などで行う場合には、精進落し用のメニューが用意されていることがあります。料理の準備についてはまず葬儀会社へ相談してみましょう。

3. 精進落しを行うタイミング

葬儀の流れの中で、精進落しを行うタイミングは地域によって異なります。一般的な精進落しを行うタイミングは、以下の順序です。

出棺・火葬 → 初七日法要 → 精進落し

また、地域によっては火葬中に食事をする場合があります。火葬の間に精進落しを行う場合は、以下の順序になります。

出棺・火葬 → 精進落し → 初七日法要

どちらの場合でも、精進落しは事前に呼ぶ人が決まっているため、どのタイミングで行うのか、どこで行うのかを参列者に伝えておきましょう。

4. 精進落しの流れの例

  1. 宗教者の話
  2. 世話役、もしくは葬儀委員長などの挨拶
  3. 遺族代表挨拶
  4. 飲食

以前は、上記のような順序で行われることが一般的でしたが、昨今は少しずつ簡略化され、遺族や年長者のあいさつの後、すぐに会食を行うことが多いようです。

5. 精進落しの際の挨拶について

精進落しの挨拶は「献杯(けんぱい)」と言います。故人に盃をささげる意味がある言葉のため、参列者も手元に飲み物が揃ったら唱和しますが、乾杯の時のような拍手やグラスを合わせることはマナー違反です。献杯は喪主や親族代表として挨拶をした人が行っても、別の方が行っても構いません。

地域や宗派によっては献杯を行わない場合もあります。

精進落しの開始の挨拶例

本日は、ご多忙のところ、
(  )のために、ご参列下さいましてありがとうございました。
ささやかではございますが粗食をご用意いたしましたので、ごゆっくりおくつろぎ下さいますよう、お願いいたします。

開始の挨拶では、法要へ参列してくれたことへの感謝と、故人を偲ぶ時間を設けさせていただいたお礼をお伝えします。

精進落しの締めの挨拶例

本日は、(  )のためにお付き合い頂き誠にありがとうございました。
皆様に心からのお見送りをいただき、故人も大変喜んでいることと存じます。
故人との思い出話をもっとお聞きしたいところですが、夜も更けて参りましたため、そろそろお開きとさせていただきます。

皆さまどうぞお気をつけてお帰りください。
本日は誠にありがとうございました。

締めの挨拶では、精進落しの最後まで付き合ってくださった参列者への労いの言葉と、故人への思い出を語らってくれたことへの感謝をお伝えします。長い時間故人と遺族に寄り添ってくれた事に対し、お礼を申し上げましょう。

6. 精進落しのマナー

精進落しを行う際には、気を付けるべきマナーがあります。参列者を労い、故人を偲ぶ大切な席にするためにも、マナーをしっかりとおさえていきましょう。

宗教者を上席に、遺族は末席に配席する

精進落しでは、席順が決まっています。まず、宗教者を最上席に案内します。次いで、会社の関係者や友人、親族の順に座っていただきます。遺族ならびに喪主は、必ず末席に座るようにしましょう。

席を回ってお礼の言葉を伝える

食事が始まったら参列者にお酌をして回りましょう。参列者の席を1人ずつ訪れ、故人を偲ぶために、足を運んでくれたことに感謝します。

料理の種類や量に気を配る

精進落しは、故人が生前お世話になった方をもてなすための席でもあります。世代を問わず多くの方が参列する場合は、料理や飲み物の種類にも気を配る必要があります。ビールをはじめとしたお酒、ジュースなど、飲み物は複数用意しましょう。また、子供用のメニューや参列者のアレルギーの有無、持ち帰り用の食事の有無を、あらかじめ確認しておくと良いでしょう。

7. 精進落しをしない場合

参列者への感謝の気持ちを表すものとして、精進落しを行うのが一般的です。そのため、精進落しを行わない場合は、その旨を宗教者や参列者に事前に周知しましょう。例えば葬儀の案内状に記載をし、法要の後にも告知を行います。また、精進落しをしない場合には、宗教者には御膳料を渡します。葬儀参列者には食事の代わりとして、お弁当や返礼品を渡すと良いでしょう。

宗教者が精進落しを辞退した場合

宗教者の都合がつかず、精進落しを辞退する場合もあります。その時は、御膳料を包んでお渡ししましょう。御膳料の相場は、5,000〜10,000円ですが、その他に「お車代」を一緒に渡すことがあります。

8. マナーを守って、故人を偲ぶ大切な時間を

精進落しを行う際の準備やタイミング、マナーについてご紹介してきました。精進落しは故人を偲び、参列者を労うために設けられた席なので、故人にゆかりのある方々の出席が予想されます。丁寧に気を配って、故人への思いのこもった時間になるように心がけましょう。また、精進落しを行わない場合でも、参列者や宗教者に対し、感謝の気持ちを伝えていきましょう。
精進落しに限らず、葬儀に関してのお悩みはティアにご相談ください。葬儀専門会社としてのノウハウを活かし、最期にふさわしいかけがえのない葬儀をお手伝いいたします。