ご遺体搬送

葬儀の流れ「喪主・ご遺族の方」

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ご遺体の搬送について
搬送の流れや料金を解説します

息を引き取った故人は、速やかにしかるべき場所に搬送・安置しなければなりません。しかし不慣れなことなので、「どこに連絡すればいいの」「費用がどれくらいかかるの」と、これから何をすべきか全く分からず、不安を感じている方もたくさんいるでしょう。このページでは、ご遺体の搬送について不安を感じている方に向けて、ご遺体搬送の手配、流れ、費用などについて、分かりやすく解説いたします。

1. ご逝去されてから搬送を行うまでについて

病院で息を引き取ると、医師による死亡診断書の発行、看護師によるエンゼルケアが行われます。その間に、家族はご遺体搬送の手配をし、荷物をまとめ、退院の準備をします。

多くの病院は霊安室を有しており、出発の準備が整ったご遺体は病室から霊安室に運ばれます。中には霊安室を持たない病院や、霊安室がすでに別の方に利用されているため病室で待機するケースもあります。葬儀社が霊安室と病室のどちらにお迎えに行くのか、医師や看護師に確認しておきましょう。

依頼する搬送会社が決まらない場合、病院側が提携葬儀社を紹介してくれます。こうした提携葬儀社には葬儀の依頼までせずとも、搬送だけを依頼しても構いません。また、ご遺体搬送に関して業者の指定はありませんので、仮に病院側からの紹介を受けても不要と判断したら断りましょう。

ただし、業者選びに時間をかけるのもよろしくありません。院内には他の患者もいるため、遺族には速やかな搬送が求められます。できれば事前に葬儀社を決めておくと安心です。

2. ご遺体を搬送する際の流れ

ご遺体搬送とは、故人様をある場所から安置する場所に運ぶことです。搬送には葬儀社が保有する寝台車や霊柩車が用いられます。ご逝去後、まず遺族がしなければならないのがご遺体搬送のための手配です。

  1. STEP

    ご遺体搬送を依頼する葬儀社決定

    喪主や遺族はすぐに「どこの葬儀社に連絡して、ご遺体を搬送してもらうか」を決めます。

    葬儀を頼む会社へ一緒に依頼するのが一般的ですが、「突然のことで葬儀をどこに頼むか決められていない」という場合はとりあえず搬送だけどこかにお願いすることもできます。

  2. STEP

    搬送先の決定

    安置施設の主な種類
    • ご自宅
    • 葬儀社・斎場
    • 民間の安置施設

    搬送先については上記の3つが一般的です。どの搬送先であっても、通常は葬儀社に依頼しご遺体を安置してもらいます。今回はご自宅に安置する場合を想定して解説していきます。

    搬送を手配する際は、次に挙げる事柄を正確に伝えられるとスムーズに進みます。

    ご遺体搬送を依頼する時に伝えること
    自分の情報 名前/連絡先電話番号/故人との関係など
    故人の情報 名前・年齢・性別・身長など
    搬送先 搬送先/搬送先の住所/搬送先の電話番号など
    ご遺体の情報 亡くなった場所/現在の状況/ご遺体の場所など
    宗旨・宗派について 枕飾りなどで、準備するものが変わるため、宗旨・宗派を伝える

    依頼した搬送業者がお迎えに来るのを待つ間に退院の手続きをして荷物をまとめ、病室から霊安室に移動します。

  3. STEP

    自宅での受け入れを準備

    受け容れの準備の例
    • 搬入経路の確保
    • 布団・枕の用意
    • 枕花の用意

    自宅で受け入れする際には主に上記のような点に注意します。特に搬入する場所がマンションである場合は、エレベーターに収まるかを考慮する必要があります。

    エレベーターで搬送するにはスペース確保のためにエレベーター奥扉のトランクを開けなければいけない場合もあります。その際にはマンションの管理人さんに確認し、エレベーター奥扉のトランクの鍵を受け取っておきましょう。

  4. STEP

    自宅でご遺体を安置する

    ご遺体を安置する際の手順
    1. 北枕にする
    2. 手を組ませ数珠をかける
    3. 枕飾りの準備
    4. 枕経をあげる近年では省略されることもあります

    ご自宅に安置する際には、一般的に上記のような手順でご遺体を安置します。

    安置の際にはご遺体を北枕にします。頭部を北にし、顔を西に向ける姿が基本と言われていますが、これはブッタが入滅した際の姿勢と言われる「頭北面西右脇臥」に由来します。しかし、部屋の状況を見て難しければそれ以外の向きでも構いません。

    頭北面西右脇臥

3. ご遺体搬送にかかる料金について

ご遺体搬送料金は、各事業所が国土交通省に届け出た金額が適用され、走行距離と車種によって変わります。

走行距離は、「寝台車の車庫~お迎え先~ご安置場所」の合計で計算します。葬儀のご遺体搬送は2行程になることが多く、その場合は1行程ごとに費用が発生します。例えば次のようなケースが挙げられます。

病院で亡くなって、自宅に戻られ葬儀は会館で行う場合
  • 1行程目:車庫~病院~ご自宅
  • 2行程目:車庫~ご自宅~斎場

料金は事業所ごとに異なりますので、気になる方は事前に確認しておきましょう。

長距離のご遺体搬送料金

長距離のご遺体搬送の場合、一般的な料金に加えて、高速道路や有料道路の通行料金、
ご遺体保全のためのドライアイス、交代要員が必要な場合は2人分の人件費などがかかります。

搬送費用の支払いについて

搬送費用の支払い方法はさまざまです。搬送業者にそのまま葬儀も依頼するのであれば、葬儀費用に含む形で後日支払います。もしも搬送だけを依頼したのであれば、ご遺体のご安置後、出来るだけ早めに支払うのが一般的です。

4. ご遺体搬送の手段

ご遺体搬送のほとんどは葬儀社や専門業者の寝台車が用いられます。業者に連絡するとすぐに指定場所までお迎えに来てくれるでしょう。

またご遺体の搬送と葬儀の施行は必ずしも同じ業者でなくても構いません。すでに葬儀社が決まっているのであればその葬儀社に連絡しましょう。

自家用車で搬送は現実的でない

葬儀社などの専門業者に依頼せず、自らの手で自家用車にご遺体を乗せて搬送することも不可能ではありません。ご遺体搬送に関しては特別な資格や、警察への許可・届け出なども不要ですので、法律違反にも当たりません。

ただし、ご遺体の扱いの難しさや衛生面のリスクを考えると現実的ではありません。

ご遺体はただ車に乗せて搬送すればいいものではなく、故人様の尊厳を保ちながら確実にしかるべき場所にご安置しなければなりません。

本来は搬送に先立って綿詰めなどの適切な処置を施しますし、搬送中にご遺体を傷つけることがないよう専用のストレッチャーに乗せて固定します。こうしたご遺体へのケアは、経験が皆無の家族だけでは不可能です。

また、お部屋の準備、適切な安置も、経験豊富な葬儀社だからこそ可能なことです。このように考えると、自家用車での搬送は不可能でこそないものの、現実的とは言えないでしょう。

5. ご遺体搬送に関連する法律について

ご遺体の搬送にあたっては、色々な規定があります。基本的に、葬儀社などに搬送を依頼するのが一般的であり、個人での搬送はおすすめできません。
ここで一度ご遺体の搬送に関連する法律を確認しておきましょう。

事業車・車両の規定

事業としてご遺体搬送を行うには、貨物自動車運送事業法に基づき、国土交通省から「一般貨物自動車運送事業」の許可を受けた事業者でなければならず、許可を受けた車両には「緑ナンバー」の装着が義務づけられています。許可を受けていない白ナンバーの車両ではご遺体の搬送はできません。ちなみに搬送車や霊柩車は「特殊用途自動車」に区分され、分類番号8で、「8ナンバー」と呼ばれています。

ご遺体の法律上の規定

ご遺体は法律上「貨物」として規定されており、生きている人間とは明確に区別されています。そのため、霊柩事業は「一般貨物自動車運送事業」とされており、人を送迎する「旅客運送事業」に括られるタクシー、バス、介護タクシーなどを用いたご遺体搬送はできません。

また、「貨物」に規定されているとはいえ、通常のトラックなどとも異なり、「霊柩の運送に限る」「許可を得ている都道府県をまたいではならない」「届出運賃からの割引や無償サービス禁止」などの特殊な条件が定められています。

6. 病院以外で亡くなった場合の対応

自宅で亡くなった場合

在宅介護などで、自宅にいながら息を引き取った場合には、すみやかに主治医や近隣の医師に連絡します。医師によって死亡が確定したら、「死亡診断書」を受けとり、その後すぐに葬儀社に連絡しましょう。この場合、すでに自宅にいるため、ご遺体の搬送は不要ですが、葬儀社によるご遺体の死後処置、ドライアイスの手当、枕飾りなどの設置後、通夜・葬儀の打ち合わせをします。

特にかかりつけの医師がいない場合や、急死や事故死の場合はすぐに警察に連絡します。ご遺体や周辺の状況から事件性の有無を確認し、警察医が死因を探ります。警察医による見分のことを「検案」と呼ぶことから、検案のあとに発行される書類を「死体検案書」と呼びます。内容は死亡診断書と同じで、死亡届に必要な大切な書類です。

死亡診断書や死体検案書が発行されるまでは、ご遺体に触れて動かさないように注意しましょう。事件性の疑義が生じる恐れがあります。

遠方(県外・海外)で亡くなった場合

遠方からの搬送の場合、近距離といくつか異なる点が生じます。
通常、ご遺体をご自宅などに安置したあとにドライアイスの手当をしますが、遠距離の搬送が伴う場合は、直ちにドライアイスの手当や納棺を先に行うことがあります。これはご遺体の状態を少しでもいい状態に保つためです。

もしも海外輸送を希望した場合、ご遺体の搬送ができないこともあります。
海外で亡くなった場合、国の法令や環境(エンバーミング施設がないなど)によってはご遺体のまま搬送できないこともあります。このケースだと、現地で火葬をして、お骨となって日本に帰ってくることになります。海外からの搬送は、経験豊富な業者とよく相談をしましょう。

7. ご遺体の搬送業者は慌てずに手配しましょう

ご遺体搬送は、ご逝去後すぐに行わなくてはならないものです。時間の余裕がないこともあり、慌ててしまう方も多くいらっしゃいます。いざというときに落ち着いて対応できるよう、このページで紹介した情報が参考になれば幸いです。また事前に葬儀社を調べておくのもおすすめです。

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